哀れなAKUMAに魂の救済を









「魂を救済する。」



 それが僕の役目。

 エクソシストとしての僕の役目。



 救済だなんて言ってるけど、

 実際は、"破壊"しているだけ。

 AKUMAを。哀れな魂を。



 初めてAKUMAを破壊、いやマナの魂を救った時。

 何がなんだか分からなかった。

 突然、変異した自分の左腕が勝手に動いて、

 不気味に輝く銀色の骨組みを無残に破壊した。

 その中にいたマナの心も。



 そして、僕は師匠であるクロス元帥の下で旅をしながら修行することに。

 旅先出会い、初めて出来た親友。

 その親友も変わり果てた姿で僕の前に現れた。

 AKUMAとして。僕の前に。

 師匠の弟子になってAKUMAを破壊したのは、

 これが始めてだった。



「どうだ? AKUMAを破壊した感想は?」

「悲しいです・・・。」



 悲しい。心にズキズキと痛みが押し寄せてくる。



 "何故強く生きてくれなかったのか。"



 AKUMAの魂が少し分かった気がする。

 マナもそう思っていたんだろうな。

 今になってやっと気づいた気がするよ、マナ。









「アレン君! 置いてくわよ。」

「あ、リナリー待ってください。」



 すっかり忘れてた。

 今は、リナリーとデート中だったんだ。



「もう、アレン君ったら。

 いくら呼んでも何の反応もしてくれないんだから。」

「ご、ごめん。

 ちょっと考え事を、ね。」



 AKUMAとエクソシストの戦いは続いている。



 エクソシストはAKUMAを破壊、いや救済だった。

 AKUMAを救済する度に、

 エクソシストになれて良かったと思う。



   哀れなAKUMAに魂の救済を。


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