「仲間か・・・。」



 アレンはリナリーとの初任務を終えた時の事を、

 ぼんやりしながら、少し考えていた。



「リナリーは僕の事を仲間としか思っていないのか。」



 "仲間だからに決まってるでしょ!"



 リナリーの言葉が頭を駆け巡る。



「僕はリナリーのことが、

 好きなのに・・・。」



 アレンにとってリナリーは、

 仲間以上の存在となっていた。



「リナリーは・・・、

 一体僕の事をどう思っているんだろう。」



 不意に不安と希望がアレンの心に押し寄せる。

 ズキズキ感じる痛みとなって。



「聞いてみるしかないのかな・・・・。

 直接本人に。」



 ふと視線を外すとリナリーがアレンの方に向かって歩いている。

 アレンは顔が熱くなるのを感じながらも、

 リナリー本人に聞いてみる事にした。



「あ、あのリナリー。」

「何? アレン君。」



 少しばかりあたりに沈黙が訪れる。

 聞こえてくるのは、自分の鼓動だけ。



「その、リナリーは覚えてますか?

 初めて一緒に任務をしたときのこと。」

「覚えているわよ。

 巻き戻しの街のことでしょ?」



 そうです、と言いたげにアレンは首を縦に振る。



「その・・・AKUMAが自爆したときのことは?」

「もちろん、覚えているわよ。

 アレン君が・・・自爆寸前のAKUMAに飛び込んだときのことでしょ。」



 やっぱり覚えているか。



 少し複雑な思いで聞いてみることにした。

 僕は"仲間"以上の存在なのか、そうでないか。



「僕はリナリーの何なんですか。」

「急に何言ってるのよ。

 アレン君は私の正真正銘の仲間よ。」



 仲間以上じゃ・・・・。



 少しリナリーの言葉には期待していたけど、

 やっぱり胸が痛い。



「少なくともその時までは、だけど。」



 リナリー・・・・。



 それ以上喋らないで。

 二人の間に流れる沈黙がそう語っているようだ。



「アレン君・・・。

 私もアレン君に聞きたい事があるの。」

「何ですか・・・。リナリー。」



 気のせいかな。



 リナリーの頬が徐々に赤らめていく気がする。

 アレンは自分の視線をリナリーに向ける。



「私はアレン君にとって何?

 やっぱり仲間かな?」



 僕は、リナリーを仲間と思った事なんて一度もない。

 ずっとリナリーは僕にとって仲間以上の存在だ。

 仲間なんて言葉で表せれるほどの存在ではない。



 アレンは少しばかり期待を胸に、

 自分の気持ちを正直に伝えることを決めた。



「そのリナリー。

 僕はリナリーのことを仲間だと思った事なんて一度もないです。」

「アレン君・・・・。」

「だってリナリーは、

 リナリーは僕にとって仲間以上の存在だから。

 僕はリナリーのことが好きです。

 凄く言葉に表せないほど。」



 リナリー。僕の気持ちを受け取って。



「私も好き。アレン君のこと。」
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