運命









 僕は力が欲しい。

 誰にも屈することのない力を。

 誰しもを凌ぐ力を。

 誰かを、愛する人を守ることができる力を。









 僕は皆の為に、世界を守る為に生きようと誓った。



 生まれながらに宿っていた左手のイノセンス。

 まるで、僕を戦いに引きずり込むかのように、

 僕の運命を血塗れの運命に変えていった。





 目の前のAKUMAを破壊する日々。

 変哲が無いように感じるこの毎日も、

 実は少しずつ変わっていて、

 その変わっていく日々の中で、

 何も変わらない僕は、ただ手を血で汚していった。





 気づいた時には戻れない。

 進む事しか許されない僕の運命。



 前だけを向いて歩かなければならない。

 少しでも後ろを振り向いてはいけない。



 日に増すプレッシャーと恐怖。

 まるで影のように僕にピタリとはりつく。







 真紅の血で彩られた僕の運命。

 その中で、着実に僕は強くなっていく。

 プレッシャーと恐怖だけじゃない。

 力と意志も少しずつ強くなっていく。











 僕はこれからもずっと、この道を歩むのだろうか。

 もし、そうなら誰か傍にいてほしい。



 誰でもいいから、

 僕のことを見つめてくれる人がいないと。



 
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