夢のような









 外は激しさを増すばかりの豪雨。

 荒れた天候になるとついつい思ってしまうことがある。



 リナリー大丈夫かな。



 ここ数週間リナリーとは会っていない。

 エクソシストだから会わない事の方が多いんだけど。



 でも、凄く気になってしまうんだ。

 リナリーの事だから大丈夫だってのは分かってる。

 でも、好きだからこそ心配なんだ。









 任務が終わり休憩しようとしていた僕。

 でも、リナリーがどうしてるか気になったから、

 リナリーの部屋へと向かった。



 向かう途中、鼓動が高鳴っていくのを感じた。

 何故だろう、凄く汗ばんでくる。





 なんて、考えている内に、

 とうとう来てしまった、リナリーの部屋に。











「リナリーいる?」



 返事が返ってこないから、多分任務だろう。



 最近、AKUMAの活動が活発になってきているから、

 エクソシストに与えられる任務の数が増えてきている。



 高鳴っていた鼓動もいつの間にか、

 落ち着きを取り戻していた。



「アレン君・・・、こんなとこで何してるの?」

「リナリー?

 任務に行ったんじゃ。」



 任務じゃなくて、ここにいたんだ。



 リナリーの姿を目で捉えると、

 顔が熱を帯びていくような気がする。

 不意にも左手に力が入ってしまう。



「さっきまでだけどね。

 今、帰ってきたところよ。

 それより・・・何でアレン君がここに?」

「そ、それはその・・・。

 何ていうか、僕もさっき帰ってきたところで、

 リナリーに、その会いたくて。」



 カッコ悪い・・・。

 オドオドしすぎな上に、顔も真っ赤で・・・。



「どうして、会いたかったの?」

「い、いや、別にコレといった理由は・・・。」



 駄目だ、恥ずかしくて言えない。

 何ていうか、リナリーの顔見ると、

 喉が硬直するっていうか。



「そっか・・・。

 私も会いたかったんだよ、アレン君に。」

「どうしてですか?」



 理由はどうあれ、凄く嬉しい。

 僕だけじゃ無かったんだ。

 会いたいって思ってたのは。



「言ってあげてもいいけど、

 絶対、笑わないでね。」

「笑いませんよ。」



 笑わないでねって、笑うような理由?

 ちょっと、何か不安になってきたような・・・。



「その、アレン君の事が好きだからよ。」









 あれ、ここは・・・・。



 アレンは医務室のベッドの中にいた。



「リナリー、リナリー?!」



 辺りを見回すアレンであったが、

 そこにはリナリーの姿は無かった。



「アレン君、どう調子は?」

「こ、コムイさん?」



 ってことは夢だったのか、

 何かショックかも。

 せっかく、良い夢だったのに。



「疲れてるようだね。

 任務終わったばかりなんだから、休憩しなきゃ駄目だよ。」

「はぁ・・・。」



 それにしても、夢にしてはリアルだったような。

 なんていうか、現実?



「あ、アレン君!

 大丈夫?!」

「り、リナリーどうしたんですか?

 任務に行ってたんじゃ。」



 確かに、リナリーは部屋にいなかったし・・・。

 任務に行っているはずじゃ・・・・



「何寝ぼけてるのよ。

 さっき、私と喋ったときに急に倒れたんじゃないの。

 まさか、覚えてないの?」

「倒れた事は覚えてません。」



 ってことは、リナリーが僕の事好きっていうのは、

 夢なんかじゃなくて、事実だってこと?



「もう、心配かけないでよね。

 アレン君、何かあったら私、私・・・。」

「な、泣かないでください、リナリー。

 ホントに大丈夫だから。」



「ホントに、大丈夫?」

「はい、ホントにホントに大丈夫です。」





 大丈夫に決まってるじゃないですか。



 僕がリナリーに自分の気持ちさえもいってないのに。



「リナリー、好きです。」




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