煮えたぎる愛









 愛はとても醜い感情なのだろうか。



 そう思った理由というのは、

 深い眠りについているアスカ。





 僕はアスカを愛している。

 言い過ぎなのかもしれないけど、

 アスカの為だったら僕は何でもできる。



 それはアスカへの愛という感情が理由で、

 それを自分自身でさえも止めることはできない。





 心地いいほどに熱いこの想い。

 それはときとして自分に相手に牙をむく。





 美しいほどに赤く、醜いほどに赤い。

 それが愛の正体で、誰しもが持っている感情。



 捨てるに捨てきれない。

 心の奥に閉ざそうとしても、芽生えてくる。











「アスカ。」

「どうしたのよ、改まって。」



 燃えるように赤い髪。

 まるで愛の色のように、際立っている。



「その、好きだよ。アスカのことが。」

「ちょっと、そんなこと急に・・・言われても・・・」



 訪れる沈黙、沸々沸いてくる感情。

 その二つに押しつぶされそうになりながらも、

 僕は必死で想いを伝えようとする。



「僕がアスカに相応しいとは思わない。

 でも、初めて人を愛して、

 初めて人を守りたいと思ったんだ。」

「シンジ・・・。」





 お互いどちらからともなく、

 想いを形にするかのように、抱きしめた。



 愛しい、守りたい、感じたい。

 そう想った自分が凄く誇らしいとさえ感じた。

 人を避けて、心を閉ざしていたあの頃の僕が、

 今はこんなに素晴らしい感情を抱いているんだ。





「好き、ううん、愛してる。」

「僕もだよ、アスカ。」