幸か不幸か









僕は不幸にもエヴァに乗ることができた。

自分の居場所のない世界を守るために戦わなければならない。

だからいつ死んだって構わないと思っていた。

むしろ使徒に倒されることすら望んでいたかもしれない。

かけがえのない世界は僕にとっては無価値だ。



そんな僕とアスカは違っていた。

アスカは自分の居場所を探すことに必死だった。

使徒とだけじゃなく、この世界とも戦っていた。

僕はそんなアスカに生を見出した。

アスカが生きる世界を守るために戦おう。



アスカと一緒に暮らすようになってから、人と話す機会が増えた。

話せば話すほど、僕の世界が形作られていく。

アスカが生きて、僕が生きる世界なら守る価値はある。

その日から死ぬのが怖くなった。

どうかずっとこの世界が続きますように。



過酷な現実は僕たちの仲を取り持った。

僕たちは初めてこの世界で居場所を見つけた。

どんなに辛いことが起きても二人なら乗り越えられる。

明日死ぬかもしれない日々は思いのほか悪くない。

エヴァに乗れた僕は誰よりも幸せだった。