偽りのベールの中で









 人は偽って生きていく生き物。

 自分、相手に嘘を重ねていく。



 周りから良く思われたいが為に、

 下らない嘘をついていく。



 そして、嘘を嘘だと知られるのが怖いから、

 更に嘘を嘘を、いつの間にかどれが真実か分からなくなる。



 偽りというベールに包まれた世界。

 真実が嘘で、嘘が真実で。

 明らかに矛盾した世界の中で、

 何を信じて生きていけばいいというのだろうか。



 信じれる人がいるならその人と生きていけばいい。

 でも、本当に孤独な人だったら何を道標に、

 真っ黒に霞んだ道を歩んでいけばいいのだろうか。



 嘘と真実と不平等。

 人々はこの3つに翻弄され、

 それを自分の運命だと決めつけ生きていく。





 でも、真偽が分からないこの世界だからこそ、

 矛盾に満ちた人々は生きていけるのだろう。









「シンジ、ちょっとシンジってばぁ。」



 微笑ましい笑みを浮かべて、

 アスカは僕の顔を覗いてきた。



 この笑顔が偽っていないかどうか、

 それはアスカ自身しか分からない。



 でも、僕は信じている。

 僕を好きといってくれたアスカを。




目次へ

感想を BBSにてお待ちしております。