身勝手なお願い
「人の為だとか言って結局、人を犠牲にしているんじゃない。」
私の失われた時間を返して・・・・。
ネルフさえ無かったら、
お母さんも、過去の自分も助かっていたのに。
「今日もシンクロテスト。」
そう、今日も。
何でネルフは私の時間を平気で使うの?
―私がチルドレンだから。
そんなことは分かってる。
だけど、私の人生を将来を台無しにしないで。
「アスカ、明日もだからね。」
ミサト・・・。
貴方も結局ネルフの人間。
表面上は家族でも、所詮赤の他人。
私の気持ちを理解しろとは言わない。
だけど、理解しようとするぐらい、してよ。
「アスカどうしたの?
最近、シンクロ値落ちてきてるわよ?」
だから何よ。
貴方達に何が分かるって言うの?
人の心も知らないで、そう平気に言わないでよ。
そうやってプレッシャーをかけないで。
今を、平静を保つので精一杯。
もう、生きる気力も全部ネルフに吸い取られちゃう。
「アスカ、起動指数を下回ったら、
貴方、パイロット失格よ。」
それだけはイヤッ。
EVAは私の全て・・・。
お母さんとの唯一の繋がり。
それを断ち切られるのはイヤッ。
やっぱり私には、EVAしか・・・・。
「アスカ、起動指数を下回ったわよ。」
そ、そんな・・・。
それじゃ、弐号機、お母さんとの繋がりは?
無くなったんだ。
私は全てを無くしたんだ。
誰か、私を救って。
全てを無くした私に何かを与えて。
お願い・・・お願い!
「アスカ、どうしたの?」
「シンジ!
私を、私を捨てないで!!」
お願い、シンジ。
貴方だけは、失いたくない・・・・・。
「捨てないでって、何言ってるの?」
あれ、ここは・・・・。
見慣れた場所。
ここは私達が暮らす家だ。
じゃあ、さっきまでのは。
「え・・・、何でもない。」
「でも、うなされてたよ?」
シンジ・・・。
貴方は何で私に微笑みかけるの?
いつも、私に。
そんな笑顔向けられても、私は。
「大丈夫って言ってるでしょ?!」
「わ、分かったよ。」
ほら、こんな言葉しかいえない。
いつも変に高いプライドが邪魔をする。
素直になれない、成りたくても。
「でもさ、アスカ。
たまには僕を頼ってよ。」
バカ。
散々頼ってるのに何で気づかないの?
だから、貴方が嫌いなのよ。
いつも、いつも私の心を揺らす。
「誰がシンジなんか頼るってのよ。」
「よかった。いつものアスカで。」
何よそれ。
私がいつも酷いこと言ってるようじゃない。
否定はしないけど、事実だから。
それでも、貴方は私を支えてくれる。
だから私は貴方に甘えてしまう。
全てシンジが悪いのよ。
シンジが私に甘くて、優しくて。
シンジ、貴方だけは私の傍にいて。
我侭だって事ぐらい分かってる。
自己中心的な事を言ってることだって分かってる。
それがシンジの人生を左右することだって・・・・分かってる。
それでも私にはシンジが必要なの。
この際、貴方の気持ちなんて正直どうでもいいの。
私は卑怯でずる賢くて、最悪な人間だから。
いつも私を包み込んでくれる、優しいシンジじゃないと駄目なの。
私の失ったものを埋めてくれるのは、
お願い、貴方だけなのシンジ。