日常の終わり









 朝。

 カーテンの隙間から差し込む眩い光。

 その光が私を照らした時、

 私は唐突に目を覚ました。



 無理やり体を起こして、

 体温で温かくなったベッドからゆっくりと抜け出す。



 "今日こそは。"

 シンジに気持ちを伝える決心をして、

 リビングへと足を一歩ずつ動かす。



 そうしている間も、

 シンジに対する恋心を募らせていく私。



 シンジの優しく温もりのある声。

 どことなく全てを包んでくれるような雰囲気。

 心を一瞬にして温かくしてくれる表情。



 私はシンジの全てが好き。

 シンジの欠点も、私から見れば好きな理由の一つ。



「おはよう。」



 私の一日はシンジの一言で始まり、

 シンジの一言で終わる。









 朝ご飯の支度をしているシンジ。

 いつの間にか私よりも大きくなっていくシンジ。

 少し不安になってしまう。

 シンジと私の距離がどんどん離れていく気がして。



 そして、いつものようにシンジの朝ご飯を食べる。

 他愛も無い話しをして、お互い笑い合う。

 "一生この時間が続けばいいのに。"

 毎日訪れるこの時間が愛しく感じられる。

 私は幸せ過ぎる。

 毎日が充実し過ぎている。









 悲劇と出会いに溢れていたあの一年間。

 その一年間もとっくに終わった今。

 都内にある高校へと私とシンジは進学していた。

 そこではエヴァを知る人間など私達以外にいない。

 知っている人達は、故郷や他の街に。

 鈴原や、ヒカリ、相田は別の高校に。



 高校生になったシンジ。

 体格も随分良くなり、前以上に背も伸び、

 以前の面影を感じさせない男になった。

 でも、私には今も昔も同じシンジ。

 何も変わっていない。



 私とシンジが一緒に学校へと登校する。

 下駄箱を開けると不意に落ちてくる数十枚の手紙。

 前まではシンジは一つも貰ってなかったのに、

 今では私より少し多いぐらい。

 そんなシンジに嫉妬したり、

 ラブレターを拾い上げているシンジを見ると切なくなってしまう。



 シンジが他の女の下へ行きそうで。

 シンジが私の傍から居なくなるようで。









 そんな日常も今日で終わり。

 何故かというと、私の願いが叶ったから。



「アスカ。僕はアスカの事が好きだ。」



 この一言をどれだけ待ち望んでいたか。



 つくづく私は思う。

 何でこの私が冴えない男に惹かれたんだろうって。

 その答えは私が一番理解しているはずなのに。



「言うのが遅いのよッ。

 このバカシンジッ!!!」



 私がどれだけ不安で、どれだけ悲しんでいたか、

 シンジ。貴方に思い知らせてやりたいぐらい。



 でも、実はシンジの事を信頼していた。

 絶対、シンジは私の事が好きだって。

 だから今までずっと待ってた。

 ホントは、私が言えなかっただけなんだけど。









 ねぇ、シンジ。

 私を好きになってくれてありがとう。
目次へ

感想を BBSにてお待ちしております。