終わり









この世のすべてのものに終わりがあるというのなら、

きっとこの戦いにも終わりはあるのだろう。

そして僕たちにもいつか終わりは訪れる。

奪われるはずの愛に僕は満足していた。



聞こえるはずのない声に僕は責められていた。

どうか私たちを守って。

僕たちを守れるのは君だけだ。

君が逃げれば、私たちは死ぬ。



僕よりも責任を感じていたアスカにも、

きっとこの声が聞こえていただろう。

どうしてそんなにも強く生きることができるのか。

僕はこんなにも逃げ出したいというのに。



アスカは僕を愛してくれた。

僕のどこに惹かれたのは分からない。

でも僕がいることでアスカが笑ってくれるなら、

少しは自信を持ってもいいのかなと思う。



使徒を倒せば倒すほど、

ありがちなゲームみたいに敵は強くなっていった。

明日死んでいるかもしれない。



「アスカが傍にいるなら僕は死んでもいいよ。」



沈黙はすぐに破られた。



「私は嫌よ。絶対嫌。

 シンジは私と生きたくはないの?

 私は生きてたいわ、シンジと。」



「僕も生きたいよ。

 ただアスカと一緒ならって、

 そう思っただけだよ。」



「ふーん、ならいいけど。

 勝手に死んだら許さないからね。」



この戦いで死ななくても僕たちはいつか死ぬだろう。

始まりの先には終わりがある、これは避けられない。

でもせっかく始まったのなら、まだ終わらせない。



少しでも長くアスカが笑っていられるように。