歌とは
この世には素晴らしい歌がたくさんある。
どの歌詞も素敵だ、涙が出るくらいに。
歌に込められた想いは人を変えることができるのは紛れもなく真実のはずである。
ではこの世にある歌には想いが込められていないのだろうか。
嫌でしかなかったあの頃からもう数年が経つ。
あのときの当たり前の毎日が誰かの最期であることを実感した。
少ししか話したことのなかった人の死でさえ我慢できなかった。
「どうせこの日が僕の最期なら、せめて頑張って終わろう。」
大切なアスカのために頑張って幕を閉じたいと思った。
隣に眠るアスカはとても幸せそうだ。
誰もこの姿から彼女の苦難を想像することはできないだろう。
僕だってできない。
そのことが僕には嬉しくてたまらない。
幸せであることが証明されたかのようで。
「ずっと一緒にいよう。」
多くの人が言ったであろうこの言葉は、
多くの人が言えなかった言葉だ。
言える自分に感謝して僕は君に伝えたんだ、アスカ。
言えなかった人たちの分もずっと一緒にいたい。
歌は僕や多くの人々の気持ちを代弁している。
心地よいメロディーにのせて、どんな人間にも降り注ぐ。
人は歌に魅了され、口ずさみ、噛みしめる。
なのになぜ人は人を傷つけるのか。
僕たちは人を愛する歌を歌いながら人を傷つけてきた。
歌よ、もっと深く心に響け。
人はまだ歌の本当の意味を知らない。
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