親友









異なる身分だったけれど僕たちは親友だった。

共に剣技を磨き、将来は同じ騎士団に入る。

死ぬまでこの国を、そして僕を支えると君は誓った。

僕たちは幸せだった。



たった一人の妹を君は失った。



「この戦争がなければ、

 妹は死なずにすんだ。

 もちろん、お前は悪くない。

 でも、僕はこの国を許せない。

 誰よりも愛していたからこそ。」



そういって僕の前から姿を消した。



「反乱軍の中に滅法強い奴がいるそうだ。

 この町の近くに駐屯していた中隊が一晩で全滅だったとか。」

「その話聞いたことあるな。

 黒髪のくせにそこらの騎士じゃ歯が立たない。」



黒髪?平民出身なのに強い騎士。

いや、まさか、そんなことはない。

君は誰よりもこの戦争を恨んでいるはずだ。





「またこうして会うとはな。」



「感動の再会、とはいかないみたいだね。」



「妹のいないこの世界で俺は生きている。

 どうして?と自問自答する日々。

 大勢の人がこの戦争で亡くなった。

 その数だけ、いやそれ以上の人が俺と同じように悲しんでいる。

 なら答えは一つだ。

 俺がその連鎖を終わらせる。」



国を、大切な人を守るために得た力で君は僕と戦おうとしている。

そして同じく僕も。



「ずっと思ってた。

 どうして俺は平民で、お前は貴族なのか。

 同じだけ努力しても将来は全く違う。

 俺たちの仲を引き裂くには十分な理由だ。

 そんなこと分かりきっていたはずなのに。」



「あの頃、僕たちはずっと一緒だった。」



「昔のことだ。」



「少なくとも僕は!

 僕は、親友として君の傍にいた。

 今だってその想いは変わらない。」



「もう俺はお前の知る俺じゃない。」





僕と君は最後まで同じだった。

ずっと誰かのために戦い続けた。

そこに身分の差はなかった。

あったのは純粋な想い、守りたいという気持ち。



「今でも僕はこの世界を愛している。

 それは君が生きているから。

 君にとって妹が大切だったように、

 僕にとっては君がそうだ。」









君は視線を空に移した。

気づけば陽が落ちかけている。

紅色に染まる、綺麗な夕焼けだった。

僕たちはいつの間にか見惚れてしまっていた。









「昔、俺がお前に誓ったときのことを覚えているか。」



「覚えているよ。」



「今みたいに綺麗な夕焼けだった。

 本当に綺麗だったな。」



「そうだね。」



「あの時の誓い、今からでも果たせるかな。」





僕は何を言うでもなく、

ただ君の手を握りしめた。






FFTを思い浮かべながら書きました。

未だに暇なときにやってしまいます。