俺の生き方









 晴れの日は嫌いだ。

 俺の心を憂鬱にさせる。









「今日もやってるんだな・・・・。」



 病院のとある一室。

 そこに俺は入院していた。



 ここから見えるのは、

 とてつもない快晴の空。

 そして、

 俺が通っていた学校の校庭。

 いつも同級生や、後輩達が遊んでいる風景が見える。



「ホント、雨降って欲しいな。」



 俺は唐突にもそう思った。

 以前までは"降って欲しくない"って純粋に思ってたのに。

 今は嫉妬や憎悪の念を込めて、そう思ってる自分がいた。



 俺も前までは活発に動く中学生だった。

 皆でサッカーや野球をして。

 動き回っていた頃は、それが普通だった。



 だけど、今はそれができない。



「・・・・・・・・。」



 後悔の渦が俺に押し寄せる。



 ―二年前に遡る。



 俺は友達と近くの公園でいつものように遊んでいた。

 そして、いつものように門限が近づくと、

 陽が落ちる前に家へと帰るはずだった。



 ―地元でも有名な事故が多い交差点。



 いつの間にか俺はそこに蹲っていた。

 視界には夥しいほどの血の量。

 意識が遠のいていくなか、俺は

 "事故に合ったんだ"と薄れ行く意識の中で理解した。



 そして、今に至るわけだ。




「最低だな、俺って。」



 悪いのは俺なのに。

 校庭で走り回って遊んでいる奴らを見ると、

 時々殺意が芽生えてくるほどに苛立つ。



 何で俺だけ・・・・。

 前みたいに走りたい。

 でも、走れない・・・・。



 何故なら、足が切断されているから。



 あの事故があった時、

 足をトラックに轢かれたのだそうだ。

 そして、足は即切断。



 朽ち果てた足を見なかった事が唯一の救いだった。

 もし見ていたら、気が動転して半狂乱になっていただろう。



「後悔しちゃ駄目だ。」



 昨日まで何でも無かった事が、

 明日になれば大切だと気づくときがある。



 失ってから尊さが気づくのである。



 俺は失ってから、

 走れることの喜びや、楽しさを理解できた。

 ある意味、そのことに気づいてくれてよかったと思う。



 "気づいたから何だ。"

 俺の頭に何かが過ぎる。



 "失ったままでいいのか。"

 いや、駄目だ。

 失ったものを取り戻したい。



 "もう一度、走りたくないのか。"

 走りたい。前みたいに。









 ―あれから一年後。



 ある中学校に俺はいた。



 俺の無くなった両足の代わりにコイツがついている。

 義足だ。

 俺はコイツのお陰で何とか歩けるまでになった。

 そして、あともう少しで走れるようになると思う。



 青い空を見ると時々思う。

 あれは何だったんだろうって。

 頭に過ぎったあの言葉。

 正直、あのお陰で今俺はここまで復活したのだ。



 俺は決めた。

 もう後悔をするような生き方はしないって。

 いつも全力投球。一球入魂。

 全てにおいて全身全霊を使って生きてみせる。