幼き俺に









 俺は今まで何人もの人を犠牲にしてきただろうか。

 何人どころか何十人。

 俺は数え切れないほどの人を踏み台として、

 今の生活を送ることができているんだ。









 俺は分かっていなかった。

 いつも自分一人で生きているんだと自画自賛していた。



 でも違っていたんだ。

 人は一人で生きていけるはずもなく、

 俺は周りの人の支えに甘え続けて、

 卑怯な程に醜く今まで生きてきた。



 それが俺で、紛れも無い事実。

 感謝の欠片の気持ちすら抱いたことなく、

 俺は平然と過ぎ行く時の波に流されていた。









 俺の存在は無意味なのだろうか。

 我先にと、押しのけて傲慢な程に俺は生きてきた。



 そんな俺という存在は限りなく無意味なんだろうか。

 でも、俺は俺自身を否定することはできない。



 否定すれば俺という存在が何なのか、

 どんな言葉で俺を飾ればいいのかが分からないから。










 日に日に堕ちて行く俺。

 社会という薄汚い世界に染まっていくことを、

 本当は毛嫌いしていたはずなのに、

 生きる為だと思うと、そんな思いは封印されてしまう。



 憂鬱だ、ただぼぅっと天井にピントを合わせていく。

 周りに合わせるように、無意識に合わせて行く。











 人の一生とは儚いもの。

 死んで何年も経てば忘れ去られてしまう。

 だから、俺は必死に生きてきた証を残そうとする。



 多くでも誰かに覚えてて貰う為に。

 必死に人のとの繋がりを築いていく。









 幼い頃の俺。

 今の俺に一言言ってやってくれ。



 そうでもしないと俺は、

 混沌のように寂しく、月のように孤独な、

 一度きりの人生を終えてしまいそうだから。




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