ちっぽけな思い









 ・・・・・。



 暗くて静かな雰囲気に満ちた部屋の中。

 窓の隙間から冷たく冷え切った風が吹き込み、

 イヤホンから漏れた音楽が僅かに部屋を彩る。



 ・・・・・・。



 闇夜に薄っすらと映る月が僕を照らしている。

 その月が視界に入る度に胸が痛む。



「由美・・・・。」



 無意識にそう僕は言った。

 そんな言葉も次第に暗闇の中へ溶け込む。

 それが無性に儚く思えて、

 次第には涙が零れ落ちる始末。



(くそっ。何で、何で、何で・・・。)



 心の中でずっと訴えかけた。

 しいて言うなら、運命、神様。

 由美を殺したこの世界に対して僕は言い続けた。



(どうして、由美なんだよ。

 どうして、他の人間じゃなくて・・・。)



 こんなことをしても意味がない。

 そんなことぐらいは俺だって分かってる。

 ましてや、好きでやってるわけじゃない。



 でも、何かにあたらないと、

 "由美がもうこの世にいない"

 という現実と向き合わなくちゃならない。



 俺は死んでも嫌だった。

 由美はまだ傍に居るって信じたかった。







 また、部屋が静寂の世界に包まれる。

 俺の周りには誰もいない、寂しい世界だ。



 でも、そんな悲しい世界でも俺は生きてる。

 意味が無いと吐き捨てながらも俺は歩き続けている。




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