I can't say









 言いたいのに、言えない。

 伝えたいのに、伝えれない。



 この一言じゃないと私の想いはシンジに届かないから。

 少しは私の気持ちに気づいてくれたらいいのに、

 鈍感なのか業となのか・・・。



 シンジはいつも同じ態度で接してくる。



 毎日毎日、そういう態度のシンジを見ていると、

 少し悲しくて、切なくて。

 それでいて、少し期待を抱いていて。

 そして、その日の終わりにはいつも必ず思ってしまう。



「シンジに好きって伝えられたらな。」



 夏の日差しに彩られた私の部屋。



 クーラーをタイマー設定にしていたから、

 部屋の中は凄く蒸し暑い。



 汗ばんだパジャマをパタパタさせて、

 体の中に空気を送り込む。



「ねぇ、シンジ〜。

 お風呂沸いてる?」

「うん、沸かしてあるよ。

 風呂入ったら朝ご飯食べてね。」



 寝起きで覚束ない足取りながらも

、  ヨタヨタと風呂場に向かう私。



 そんな私の後姿をシンジは見つめているんだ。



 そう思うと少し胸が熱くなって来てしまう。



 その熱さは気だるいものじゃなくて、

 なんていうか・・・心地いい熱さ。



 熱くて死にそうなのに、ずっと感じていたい。



 シンジも私に対してこんな気持ちを感じてるのかな。



 そうであって欲しいけど、鈍感なシンジのことだから、

 多分、私のことはそれほど意識はしてないんだと思う。



 どちらにしろ早くお風呂入らないと。



 汗臭かったらシンジに嫌われたりしたら嫌だし。



 私は複雑に絡み合う恋心を噛み締めながら、

 一歩ずつお風呂場にへと向かった。 




目次へ

次の話へ

感想を BBSにてお待ちしております。