寝顔に向かって
気がついたら、
シンジが私の傍にずっといるようになった。
それからの私は凄く変で、
ずっとシンジを意識するようになった。
シンジの声とか横顔とか、
シンジという存在に触れる度に、
鼓動の高鳴りを抑えることができなくなってしまう。
それが「好き」という気持ちに気づいたとき。
もう私自身でも自分の気持ちを止めることができなくなっていた。
「おやすみ、アスカ。」
「お、おやすみ。」
いつもシンジにおやすみを言ったら、
直ぐに部屋に戻ってシンジの写真を傍観する。
いつもはそんな感じで眠りにつくんだけど、
今日は違っていた。
「シンジ、もう寝た?」
シンジの部屋のドア越しにいる私。
何故ここにいるのか、
正直私にも何故だか分からない。
写真じゃ物足りなくなって、
シンジの姿をみたいって思ったら、
いつの間にか部屋の前に。
そして、中にいるであろうシンジに声をかけていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
シンジ、もう寝てるのかな・・・・。
ドアの向こうにいるはずなのに。
少し不安になった私は、
辺りを警戒しながら恐る恐るドアを開けた。
「寝てたんだ・・・・。」
規則的な寝息をたてているシンジ。
いつも見る事のできないシンジ。
何を思ったのか私はシンジの傍にへと近づく。
「シンジ、起きてる?」
もう一回、確かめてみたけど、
本当に寝てるみたい。
それにしてもシンジの寝顔凄く可愛い。
「シンジ・・・。
私、好きなんだよ。
シンジの事が凄く好きなの。」
駄目、もう止められない。
シンジは寝てるのよ。とか自分に言い聞かせて、
普段素直に言えない想いを口走っていく。
「はぁ〜。
私ったら何やってるんだろ。
シンジの寝顔見たんだから、
早く、寝ないと・・・・。」
少し惜しい。
多分、このままいてもシンジは寝ているし、
それにずっとシンジを見ていたいし。
あれこれ考えているうちに、
私の意識が徐々に薄れ始めた。
「は、早く帰らないと。」
そう思った頃にはもう手遅れで、
私は深い眠りについてしまった。
シンジの部屋で、それもシンジに被いかぶさるような形で。
「あ、アスカ・・・・。アスカ?」
シンジの声・・・。
何でシンジの声がするんだろう。
「シンジ・・・どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。
何で僕の部屋にいるんだよ。」
「ここは私の部屋・・・じゃないわね。」
えっと、確かシンジに会いに行って、
シンジの寝顔を見てて、
それから、それから・・・・・・・。
「何でここにいるんだよ。」
「いや、それはその・・・・。
あれよ、寝ながら歩いてきたのよ・・・多分。」
「そんなことできるはずないだろ?
本当のこと言ったらどうなんだよ。」
本当のこととか言えないに決まってるじゃない。
あぁ、どうしよう。
何とか上手く乗り切らないと・・・。
「と、とにかく自分の部屋に戻るわ。」
「駄目、本当のこと言うまで帰さないよ。」
そ、そんな・・・。
シンジと二人っきりじゃ凄く緊張しちゃうよ。
ん・・・でもこれはある意味チャンスかも。
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